Jリーグ第26節 ヴァンフォーレ甲府戦を振り返って

2006/10/9 電話にて収録
負けましたね。
すいませんでした。
「負けちゃいけない」って言ってた試合で負けましたね?
はい。見栄えもすごく悪い負けだったのはわかってます。
その通りです。テレビで見させてもらいましたが、まぁ、完敗。
そうだなぁ。新聞とかにもそういうふうに書いてありましたよ。わざわざ甲府まで来てくれたファンの方もたくさんいて、その人たちに応えるような試合内容ではなかったと思う。
そうですね。そうではなかったですねぇ。
やっぱり、何かもっと訴えかけるような内容にはしたかったけどね。
そうだよなぁ。まぁ、サンフレッチェ広島が今年J1に上がってきた甲府に完敗した試合。俺も含めて見ている人達もイライラした方も多いでしょう。
でもね、言ってたよ?
ん?
お前のとこの監督。「ナイスゲームだった」って(笑)
おお(笑)
だから、今回のVS footballは「甲府戦はナイスゲームだった」ということで終了したいと思います(笑)
そうだな(笑)俺も本音を言うとナイスゲームだったと思うよ。
はははは(笑)
まぁ、でもやっぱり見栄えは悪いわ。
そうだね。
相手の3トップに対して、どうしても後ろが5枚になっちゃうんだもん。
じゃあさ、今回は戦術的な話をしようよ。メンタルとかが原因じゃないから。
うん。じゃあ、今回も頂いたメールから。ちょうどその質問の答えが今から話すことに該当すると思うから。
うん
ええと、原卓さんから。「お疲れ様でした。が、あのラインの低さは納得いきません。是非、ご説明願います」と。まぁ、こういう気持ちの方はたくさんいらっしゃると思うんですけれども、
そうかもね
でも、俺はしょうがないと思うんだよ。俺が話していいか?
うん。お願いします。
広島はさ、「受けのサッカー」をやってるじゃん。カウンターサッカー。引いて守ってカウンターってスタイル。中盤から追いかけて守るとかでもなく、来た相手を受ける。だから必然的にラインは下がると思うんだよ。下げざるを得ない。だから、ああいうラインの低さになったんじゃねぇの?
そうだな。弁護してくれてありがとう(笑)
どういたしまして(笑)
だから、俺が言うことはもうないんだけど・・・実際にはそれはもうメンタリティの問題でもなければ局面の個人の問題とかでもなく。
うん
僕達は3バックを敷いてて相手は3トップで4-3-3というシステムなんですけど。その両サイドがけっこう大きく張るんで、例えばそこに盛田選手とか森崎和選手がついてしまうとすごく幅の開いた3バックになっちゃうよね?
そうだね
だから、基本的にはそういう形は取れないんで、その両サイドを駒野と服部に見てもらうと。そうなると必然的に後ろは5枚になるよね?
うん
ここまではまだラインの高さとかの話とは別ね?で、うちの中盤は一応3人いるんだけど、青山は引き気味の中盤だからそんなに前にはポジションは取らない。うちのサッカー自体が前からプレッシャーをかけるスタイルじゃないからさ。で、浩司(森崎選手)と陽介(柏木選手)はそれぞれ見なきゃいけない中盤の選手がいる。
そうだね
うん。で、これで中盤は終わるんだけど、甲府の林選手のところと両サイドバックのところは誰もいないよね?
うん
そうなると必然的に相手の両サイドバックの選手が持ち上がってくる時には前にすごくスペースがある。うちはそこに人がいないから。例えば「そこには駒野が出る」っていうやり方もあるんだけど。その場合は後ろの選手はすごくポジションチェンジをしなきゃいけないんだけどさ。それでもいいんだよ?横のズレを早くすればいいだけだから。ただ、この試合のサンフレッチェはそういう戦い方を取らなかったんで。
ああ
俺も監督とだいぶ話し込んで意識を統一させて試合に入ってるから。これは自信を持って言うけど、「なんとなくやって対処できなかった」とかじゃなくて、俺もそういう話をキチッとした上で「じゃあ、その形で」ってことで試合に入ってるから。
うん
だからその形を俺たち全員がわかった上でゲームに入ったと思うし。そうすると必然的に「深くなり後手になる」っていう展開は目に見えてたけど。だけど「それでなんとか奪ったボールを早く攻める」っていうのが広島としてのプランだったわけ。
はいはい
それを見てる人が「深い」とか「つまらない」とか「もう見たくない」とか言うのは全然受け入れるし、いいと思うんだけど。まぁ、それだけじゃやってる方はなかなか出来ないし(笑)
プロだからな(笑)プロフェッショナルな試合もしないと(笑)
だからメールへの回答としては、「なぜラインが低かったのか」って言うと、「低くしようって決めてやってたからです」ってなっちゃう(笑)
そうそう。この試合はチームとしてその戦い方を取ったと。だから深くなってしまったと。
そうだね。で、これはもう監督がこういうサッカーをしようとしてるんだから、それでいいんです(笑)
まぁ、それは「甲府が3トップだった」っていうのがもちろんあるんだけど、それが2トップならまた違うし。ただその3トップのチームに対して「もっとプレッシャーをかけよう」とか「もっと前でプレーしよう」とか考えると、俺らの形を変えなきゃいけないよね。どこかしら。
まあ、そうだね。
甲府のサッカーは1つの起点として林さんがあるんだよ。あそこが起点になって小気味よくボールが動きながら、サイドなり何なりいろんなところから選手が飛び出してくるんだけど。基本的にはボールを動かすところが起点になってるからね。甲府はね。そこで前で取られた瞬間の切り替えはすごく早い。攻撃からディフェンスへの切り替えはすごく早い。それは徹底してる。だから、今回は相手のいいところが全部出てしまった試合なのは間違いない。
そうだね。
相手の思うようにボールをもたれてしまったし、相手の切り替えの早さにもうまくやられてしまったし。その中でもチャンスはあったけどね。
でも、広島はそういうふうにならざるを得ないシステムを敷いたんだから。
うん。俺らがあの形を取ったら林さんはフリーになるよね。1試合中フリーだったんで。あれだけ時間与えたらあの人何でも出来るから。相当キラキラ輝いてたと思うよ。
はははは(笑)去年は見せられなかった輝き(笑)
甲府は林のチームなんですから(笑)間違いないですよ。
そうなんだ?
だって去年のチームから変えたのあそこぐらいだよ。で、林さんがあそこに入ったからよりポゼッションのサッカーが出来るようになったし。「溜め」とか「緩急」とかそういう判断が全部あそこで作られてるから。林さんを中心に周りがグルグル回ってる感じね。
ああ
結果、うまい具合にやられちゃったし。DFラインを除いてその前のエリアでは、どこも数的に不利だったと思うから。中盤の選手も大変だったとは思うけど。でもそれも試合前に話してみんなで納得して入ったから。
うん
本当は「正直、悪いな」とは思った。
ん?何?
前の選手とか中盤の選手に悪いなって。大変だろうなって。
ああ。そうしたら案の定大変だったわけね。
まぁね。でもこの形を取ってるから、そんなにボールを取りに行くシーンも作れないからさ。これで取りに行ってたら、もっとチンチンにされてたと思うよ。
そうだね。
だから、一応この試合は共通の意識を持ってやってたから、それなりにはやれてたんだけどさ。でも、見てる人たちが興奮できるサッカーではないよね。
だから、俺は後半くらいから甲府目線で見たもん。すっげぇ気分いいの(笑)ガンガン球回るし(笑)
まぁ・・・非難はしない(笑)
はははは(笑)
彼らはよく訓練されてると思う。狭いエリアでもポンポン球が回ってるし。どうしても狭いエリアでは数的に有利だから。それなりの技術とグループでの訓練がなされてれば判断は間違わないからさ。うまい具合にボールを動かされてサイドを変えられてとかやられる。
うん
俺らも遅れて出て行かないといけないからピンチになり得るシーンもあるし。だから山ちゃん(山崎光太郎選手)に撃たれたシュートも、ちょっと外だけどさ、でも、あれも結局一個一個遅れて行って、で、間に合わないってところで撃たれてるからね。まぁ、「やられたな」とは思ったんだけど。個人的には決めさせてやりてぇんだけどさ(笑)
はははは(笑)
彼が苦労してきたのは知ってるからね。だから試合しながら半分嬉しいし。
生き生きやってたよね。
うん。やっぱあいついいもん持ってるんだよ。人を使うのとかうまいし。ちょっと離れてパスの壁になったりとか。よくサッカー知ってるよ。
ああ
体はすごく小さいしスピードとかもあんまないけど、すばしっこさとかはあるから。いい感じにやってたんじゃないかなって思う。
そうだね。
でも、うちもチャンスはあったけどな。2回くらいあったのかな。よく覚えてないけど。
うん。まぁ、この試合でお前を褒めるとしたら、前半開始早々裏に出したロングパスね。
ああ、駒ちゃんの裏にね。
そう。あれはすごかったね。よく見えてたわ。
まぁ、いっつも狙ってるんだよ(笑)でも、それが試合開始早々でその後無いっていうのが悲しいよ(笑)
そうだな(笑)
フロンターレの時もさ、途中から俺のところをケアしてって話があったじゃん?
ああ。中村憲剛選手のコメントか。
そうそう。別に俺にマンマークなんかしてこないけど、何か分かる気がする。周りが俺に出し難いポジションを取ってるんだろ?俺にパスが来たら寄せられる格好は取ってるんじゃないかな。
うん
それでも俺は出してくれて大丈夫なんだけど、周りからすると出し難いかなってのは何となく分かる。やっぱ試合になるとみんなテンパッちゃうところもあるからね
だから、広島のサッカーの正体はバレてるんだよね。
まぁ・・・そうだね。一応、そこはフリーにさせちゃ良くないっていうのは思ってるのかもしれないね。そういう時は俺は余計なことはしないし、ロングパスが出せないならショートパスでつなげばいいんだし。
まあね。
ただ、甲府戦も中盤の選手には「逆、逆」とは言ってたんだけどね。前半からね。出したボールがデカすぎちゃってとかってシーンはあったけど。
うん
良い意味で言えば甲府はプレッシャーが早いけど、裏を返せば逆サイドがいつも空いてるんだから。そういうところをもっとうまく突ければチャンスもあったのかと思うけど。風の影響もあったし、相手のプレッシャーが早かったのもあって、そこがうまく突けなかったから。結局、縦のボールで何とかしようってことになっちゃったから。
ああ
そうするとやっぱり・・・
ああいう試合になるよな。
そうだね。だから引いて守っても、そこからポンポンポンってつないで行ければ違った見え方にもなるんだろうけど。そこが出せなかったからね。
そうだね。
けっこう慌てたから。
あのスタイルで負けると痛いよね。
うん。見え方としては負けると完敗になっちゃう。
そうだね。カウンターが機能しないと「受ける」だけだからね。
そう。完敗になっちゃう。でも、勝っても完勝にはならない。
そうだね(笑)
うん(笑)ただ、俺は理解して納得して試合はやった。それだけは言えます。プレー中に疑問は持ってないです。
OKです。
そういうのが一番良くないんで。理解して納得して試合には入ったんだけど。でも結局、人数がいても対応が遅れたりすると、そこからクロス入ったりシュート撃たれたりすんだよね。
そうだね
それがエリアの中じゃなくても、普通にシュート撃たれたら嫌だけどね。そういうシーンが多かった気がする。だから、このやり方を取るにしてもまだまだ徹底しなきゃいけないところがあると。
しかし、これは何回か前に俺が危惧してた「9人で守って2人で攻めるサッカー」になってねぇか?
この試合はそうなったねぇ。
これはヤバイよ?順位が下のチームがこういうサッカーをやるとマズい。
うん。まぁ、何もお答えは出来ないんですけど、受け入れます。
しかも残り8試合、崖っぷちのチームとの戦いが全部残ってます。
そうだねぇ。だから、次でしょ。
東京戦ね。まぁ、視聴者目線で言うとかなり楽しいよ?毎試合サバイバル。勝った負けたでワイワイ出来るから。10位とか11位とかよりは楽しい。
そうだねぇ(笑)
まぁ、選手にはありがたくない状況だけど(笑)
で、次の東京戦。
うん。だから、次に向けて直さなきゃいけないのは、パッて何かが起きて裏を取られたりとか、ちょっと対応をミスして突破された時の戻りとか、起きた状況に対してポジションを変えなきゃいけないんだけど、それが遅い時があって。それでお互いの距離がちょっと開いちゃって、その間に敵に入られちゃうとか。まだあるんだよ。それを直さないとどんなスタイルでやっても点は取られる。
ああ
この前もちょっとあったんだけどさ。やっぱり「一番危ないところはどこか?」とか「捨てていい場所はどこか?」とか、そういう判断をもっと早くしないと。正確に。それが出来ないとみんながズレて動いたときに逆に空いちゃうから。
うん
ズレながらバランスを取らないといけないんだけど。どこかで誰かがその判断を間違えるとそれがすっごく大きな穴になっちゃって、一番危険なところが空いちゃったりするから。それはその場面場面でもっといい判断が出来るようにしないと。ただそこにいれば守れるわけじゃないから。それが足1歩分かもしれないし、10mかもしれないし。「守る」って言うのは「ただそこにいればいいわけじゃない」から。
そうだね。しかしこんな時期に来てそんな事が起こっちゃってるからねぇ。
うん。もうちょっとそういうところを詰めないとダメだなって。
うん。さて、次の東京戦。そういうところを修正するとして、平山選手もいるしね。
そこをターゲットにしてくるでしょ。だからうまくキープされると面倒だよね。彼自身には突破とかはあんまり無いのかもしれないけど、そこでヘディングして落としたり、キープして飛び出させたり、そういうことだと思うし。
でも、名古屋戦はちょこちょこ仕掛けてたよ。
そうなんだ?まだ見てないや。まぁ、でも、相手がどういうサッカーをするかっていうのを大事にした上で、相手の良いところを消して相手の嫌なところを突くと。自分たちのサッカーをしながらね。それが出来れば問題ないと思うんだけど。ま、簡単な仕事じゃないです。
そうだよね。「自分たちのサッカーは何か?」って問題もあるし。
まぁ、俺の理想としては、チームもそうなんだろうけど、「誰が相手でも攻撃的なサッカーをして、負けることもあるけど勝つことを多くして」っていうサッカーをしたい。甲府もそうだったけどね。だから甲府のサポーターもすごく増えていい雰囲気だったしね。そういうところに人は集まるんだろうし。今はそれは難しいとしてもね。近い将来には誰が相手だろうがそういうサッカーを毎試合毎試合して。それで勝っていきたい。
え?甲府が目標ですか?(笑)
好感が持てるということで(笑)まぁ、大木さん(甲府監督)とも挨拶はしたけどね。試合の後にも挨拶させてもらったけど「悪くねぇらぁ?」って言ってたから(笑)
はははは(笑)
「悪くねぇら?うちのサッカー。悪くねぇら?」って(笑)「いいサッカーしてると思います」って言っておいたけど。
あの人、声がでかい(笑)
良い仕事してると思うよ。甲府じゃ神だよ(笑)だって奇跡だと思うよ?J1に上がったこと自体がすごいことだと思うし、その中でも甲府が一番インパクトあるし、結果も残してるし。
うん
やっぱり「強気で貫いてる」って言うのもあるんだろうし、「強気で貫くために積み重ねたもの」っていうのもあるんだろうしね。好感は持てるチームだよ。負けるときはボロボロに負けたりするけどさ。それは1つの対応力が足りないところなんだろうけど。でも、ガンバに勝ったりフロンターレに勝ったり。立派だと思います。
そうだねぇ
練習場も無いし、クラブハウスも無いし。
まだ無いの??
うん。ありえないでしょ?プロのチームが。頑張ってるよね。白いユニフォームのチアガールズも可愛かったよ(笑)寒かっただろうなぁ。
こんな試合だとこんな話しかないな(笑)
はははは(笑)でも、一つのいい絵には見えたよ。すごく。町自体も盛り上がってきてるんじゃないかなぁ。
そういう経営的・営業的な面でも長くJにいるチームは負けるわけにはいかないんだけどね。逆に甲府から学ばないといけない。まぁ、後から参入した方が悪いところも見えるからやりやすいんだろうけど。
うん。でも、遠くから来てくれたサポーターの人たちには悪いことしたな。常に心に残る試合はしたいんだよ。負けても。レッズ戦くらいの試合はしたいんだよ。「レッズとやれてなんで甲府とはやれないんだ!」っていうのもあるけど。やっぱりどんな時もそういうことは見せなきゃいけないから。
うん
結果として見せる事が出来なかったから、すいませんでした。
はい。次回、東京戦でそれを期待しています。
はい。応えられるようにしっかり一週間頑張ります。
レンタルキャプテンの腕の見せ所だからな(笑)
おう。・・・めんどくせぇな(笑)何にもできねぇよ(笑)
そんなことは知らねーよ(笑)
ははは(笑)まぁ、一生懸命やるだけです。
うん。じゃあ、また次回。
うん、また。