2006年を振り返って(前編)

2006/12/28 電話にて収録
さてさて、今回は今年を振り返るという内容でやっていきたいと思うんですけど、
うん
その前に、オフに入って最近は何をなさってるんですか?
僕ですか?僕は・・・シーズン中に一緒にいてあげられなかった息子へお詫びの意味も込めて出来る限り家族と一緒にいることを意識しつつ、練習です。
意識しつつ練習ね(笑)
うん(笑)すごく意識しないとずっとサッカーをしちゃうから。でもシーズン後の気の緩みか分かりませんが、体調を崩しまして。3日間ぐらい寝込んでたんですよ。それがちょっと誤算で、家族での小旅行やら何やら全て無くなり。何もない正月になってしまいました。クリスマスもやってません。独身のあなたと同じように、何も無い年末です。
最後のは余計なお世話ですね。
ははは(笑)まぁ、年内はリラックスした感じで練習をやってますよ。来年入ってすぐ練習を始めるんで、それにうまくもって行けるように練習をするための練習をしています。
じゃあ、毎日吉田にいるの?
いや、寝込んでたのもあって毎日は行ってないけど。行ける日は行ったけどね。あとは近隣のジムとかですかね。
なるほど。で、年明けの2日からは静岡で?
うん。某所で。
今さら名前を隠す必要も無いけどね(笑)J-STEPだっけ?
まぁ、某所ですよ(笑)何回目かな?あそこで練習するの。去年からだっけ?
その前も行ってなかった?
行ってたのかな?ちょっと覚えてないんだよね。でも、毎年やりながら「ああ、これもやんなきゃ」「あれもやんなきゃ」とかがドンドン増えてくるし。そういうことをしっかり詰め込み、プランを立てて一生懸命やるとは思いますけど。
うん
練習しなきゃいけないんだけど「練習したくねぇな」って気持ちもあるね。キツイから。自分でやる練習が一番きついです。チームでやる練習の方が楽なんで。
自分でやる練習でゲロ吐いたりするしね(笑)
そうそうそう(笑)だから今年は「走りでゲロを吐く」っていうのをひとつの目標に(笑)ちょっと頑張ろうかなと。
ははは(笑)
やっぱ練習しなきゃね。ダメなんだよ、練習しないと。とことん練習しないとダメだからね。
まぁねぇ。
でも、俺が練習してるのは俺に必要だからなんだよ。必ずしもみんなが必要なわけではないし。俺は俺なりに一生懸命やってるけど、それですらきっと小さな差にしかならないんだけど、でも、その小さな差が大きな差になるってことを信じてるからね。
才能が無いしね。
そうそう。そういうこと。
才能がある人はそこまで練習する必要は無いしね。軽いメニューでもいいし。
うん。それぞれがそれぞれに対し必要なこと、それを自分で考えてやるのがプロだと思うし。まぁ、基本的には才能があっても練習した方がいいとは思うけどね。
まぁね。
でも、俺の場合は「自分がどこにいてどこを目指してるか」っていうのがはっきりわかってるんで。常に物足りなさは付きまとうから。物足りなさと言うか情けなさと言うか。だから、まぁ、自分という選手を好きになるために練習すると。
なるほどね。自己嫌悪の回数を減らすべく練習をしてると。
うん。減らないけどね(笑)
ああ、そういうもんだ(笑)
でも、これ以上増えても困るんだよ(笑)
そうだな(笑)
さてさて、オフはそんな練習をしている戸田選手なんですが、今年を振り返ってもらおうと。
うん。
なかなか面白いシーズンでしたね?
うーん。まぁねぇ。
どう?当初の予想と比べて。まぁ、「どの時点が当初か?」っていう問題も出てくるけど。
まぁ、チームとしては「優勝争い」ってことを大々的に言ってたんで、それに関しては、俺としては「大失敗」ってことでいいんじゃないかなと思う。
うん。それはそうかもね。
だから全ての人間がそれを真摯に受け止めて、またここから始めて行くしかないと思う。でも、「優勝争い」って言う設定自体が正しかったのかどうか、それも真摯に考えなきゃいけない。
そうだね。
別に言ってもいいとは思うんだけど、「優勝を狙います」ってね。でも、それを何に対して言ってるのか、果たして誰がそれを信じてくれるのかっていうのもあるし。だから、まだ俺たちはそこは狙えないだろうと。正直。
うん
なんか、今のチームで優勝したことあるの俺だけらしいんだわ。タイトルを取ったことあるのは俺だけ。
ああ、そっか。
確かに俺はそこそこタイトルを取ってるんだわ。取ってるっていうか、取れるチームに在籍する事が出来た。
そうだね。それが正しい言い方だ。
うん。だからやっぱり「どういう時に優勝が出来て」とか「優勝するのはどういうチームで」とかわかってるし。逆を言えば「どういうふうになると降格するのか」って言うのもわかってしまった。
ははははは(笑)そうだ(笑)
そうなんだよ。「どういう雰囲気で」とか「どういう姿勢で」とか俺も勉強してしまったし。まぁ、「降格」って事に関して言えば広島にも経験した事のある選手はいたから。だから逆に踏ん張れたのかなってところはあるんだけど。
ああ
でも、優勝争いはトーナメントじゃないし、長いからね。長いようで短いけど。やっぱり34試合あるからさ。ラッキーでは勝てない。たまたま第4節首位とか第10節で2位とかあるかもしれないけど、最後の最後までそこにいるにはチーム全体としての力がないと行けないからね。
うん
やっぱり俺がエスパルスで優勝したときとかは、出てる選手のレベルもすごく高かったけど、ベンチにいる人たちもレベルが高かったから。
あの頃は田坂選手とかもベンチだったでしょ?
そうそうそう。ター坊がベンチだったもん。西沢淳二さんとかもいて。
西沢選手は今は札幌だね。
うん。俺は大好きな選手なんだけど。だから、やっぱり選手層っていうのも大事だし。あとはいい意味でアクの強い選手が揃ってたしね。だから今のレッズにはそういう匂いはするし。そういうのがある程度揃ってないと優勝争いには入っていけないと思うから。
ああ。「お前とアレックスが試合中にケンカしてる」とかいい話だと思うしね。勝つためのケンカ。
ああ(笑)俺らはたまたまそれがケンカっていう表現になったけど、要は、その一瞬一瞬のお互いの気の緩みとかちょっとしたさぼりとかを許さない関係。それがまだ若かったし、猛烈にストレートに出ちゃってたから、俺とアレックスはそうなったけど。
面白かったけどね(笑)
うん(笑)でも、そういうのがどのポジションにもあったチームだと思うから。特別俺が浮いてたとかでもなかったし。多少は浮いてたと思うけど。
でも、全然だったよ。まだ、あの頃は全然。それを考えると正直、広島は物足りない。
それを「おとなしい」っていう言い方はよくされるけど、そういう意味だったら正しい。ただ、いい監督が来てくれて、厳しいけどいい練習をしてるわけだから。まずこれを続けて行くことだろうとは思うけどね。で、誰が成長してとかね。
そうだね。
そういう「全体の空気」とかがまず必要だと思うし。何人かが引っ張るとかじゃなくてね。やっぱり全員がまず自分のために死に物狂いでサッカーをやる。それがどこかでつながった時にいい集団が出来たりとか、いいチームが出来たりとか、いいコンビネーションになったりとかがあるから。だから、まずはもっともっと厳しく練習して行くことじゃねーの?簡単に言えばね。
まぁ、それは来年に向けてだよね。大きく話が逸れたんですけど。
そうだね。逸れちゃったね。
うん。じゃあ、話を戻して。開幕当初は広島のサッカーをどう考えていたか。
はいはい。まぁ、あらかじめ自分の役割っていうのをはっきり言ってもらった形で広島に来たから。
ん?役割?
うん。プレーとしての役割。
ああ
正直に言うとそういう気持ちで来たから「あれ?」っていうのはあった。何か違ったんで。聞いていたのは「とにかく俺を汗かきにする」と。で、俺も汗かきになる準備をして行った。完全にその準備してた(笑)違う人間が攻撃を組み立てて攻めるっていうのが言われてた話だったし、俺もそう思ってた。それが正直違ったんで「あれ?」って思ったんだよね。でも、これは前に話したことだから繰り返さないけど。
シーズン前半にしたしな。
うん。まぁ、チームとして混乱してたとは思う。
ああ
最初は「去年のチームをベースにそこに俺を入れる」って話だったんで、だから俺としてはすごく簡単だったんだよ。
わかりやすいしね。
そう。わかりやすい。だから、あとは俺の仕事にかかってんだなと。っていう気持ちだったんだけど、実際にキャンプが始まってみたら違う形だったから。
そうだねぇ。中盤に4人をフラットに並べるってことになってたねぇ。
そうそう。そうなると役割が多様化してくるし。そういう意味ではベットとかは多様化に向いてる選手じゃなかったと思うんだわ。でも、彼には彼のいいところがあって。例えば「ベットに攻めも守りも」ってことになったら難しいんじゃないかなって。だから、ああいう選手を前で自由にプレーさせるために俺が後ろでひたすら汗かきをすればいいんだなと。そういうイメージで行ったから。それが全部無しになってしまって。
キャンプからね。
そう。いきなり横並びになってしまって。「状況に応じてそれぞれが」ってなった時に、果たしてその時の俺たちはそれが出来たのか?っていうのがあったから。
うん。この話はシーズン前半に散々話したけど、お前も含めて「そういうサッカーが出来るほど頭が良くなかった」ってことですよね?
そういうことです。
それで、大混乱です(笑)
うん。それが全てだよ。簡単に言うとそれが全て。
だから、何度も話してるけど第2節の大分戦が問題なんだよ。
そうだな。
「なぜ、お前がああいうプレーをしたか?」っていうのがさ。俺はびっくりしたんだよ。
俺は楽しかったけどね(笑)やっぱり俺は今年はあの試合が一番な気がする。自分的には。
うん。「for the team. for the team」と言い続けてる人間がこういうプレーをするかと(笑)
でも、それもfor the teamなんだよ。
まぁねぇ。
自分で考えて出したfor the teamなんです。
その答えが出る過程で何に絶望したのかって事が問題なんだけどね(笑)
だから、結局、ずーっとしっくりこなかったから。正直ね。キャンプから上手く行かなかったし。開幕戦の相手がアントラーズだったっていうのも一つ不運だったのかもしれないけど。
ああ、相手が強いから欠点が隠せた?
うん。言い訳じゃないけどね。あとはそれが鹿島じゃなかったらあそこまでやられないから、自信を無くさなかったのかもしれない。
おお。なるほど。
混乱しなかったのかもしれない。だから鹿島はやっぱり鹿島だった。もろに俺たちの未成熟さが出てしまったゲーム。俺も含めてみんなそうだと思うけど、上手く行ってないのをわかってて、実際開幕戦をやったら上手く行かなくて。でも、試合の中で人間を変えたり役割を変えたら上手く行ったっていう、ちょっとした手応えみたいのはあったから。「これはどうにかしなきゃ、早く手をつけなきゃいけない」って中で、次が大分でしょ?
うん。第2節。
だから俺が行くしかないって。俺も何だかんだ言ってもまだみんなの顔が見えなかったし。みんなの気持ちが。話をしててもね。それも正直待てなかったし。
しかも、キャプテンでも何でもなかったからね。
そうだね。
仕切って行くにも行けなかったからね。
うん。まだね。それで俺も葛藤してたのは間違いないんだけど。ただ、やっぱりある程度のベースがチームにはあるはずだから、これは受け取られ方が難しいけど、逆に長くチームにいる選手たちが俺たちを導いてくれた方がやりやすかった。
ああ、本当はそうあるべきだよね。
うん。そういう選手たちがまず先に立ってそういう状況に対して話し合いを持ってくれたりとかがあったら、正直俺は助かった。
そりゃそうだよな。お前なんか広島に来て2ヶ月とかの頃の話だからな。
そうそう。でも、そんな俺が仕切ったっていいとは思うんだよ。チームに来て2ヶ月だろうが1ヶ月だろうが。そういう意味では反省はしてるんだけど、でもそんな俺が「おい、みんなちょっと集まれ」とかはなかなか言えなかった。
まぁ、そうだな。
うん。で、監督にも俺はまだそこまで言えなかった。監督がやるっていうものに対して俺は理解できてたから、まずはそれを一生懸命やろうとはしてたけど。それが合ってる、合ってないとかは考えてなかった。「それをやる」っていうことしか考えてなかったし。
そうだったね。チームをまとめるっていう意識は無かったよね。
うん。だって俺がまとめる必要はねぇもん。
キャプテンじゃなかったしな。お前なんかが出てきちゃうと余計に混乱もするし。
うん。しかも新入りだもん。そういう時期的な難しさはあったよね。俺が2年目とかだったら全然余裕だったと思うけど。そういう意味ではね。
ああ
ただ、「もう時間が経てば良くなるっていう状況でもねぇな」と。「これちょっと待てねぇな」っていうのがあったから、プレーで提示しようっていうことで大分戦になったんだけど。
なるほどね。
はっきりしないんだもん。横に4人並んでたってさ、何にもならないんだよ。ボールは支配されるしプレッシャーには行けないし。かと言って、引いて守ってカウンターにしても、後ろからのビルドアップも上手く行ってなかったし。
全然ダメだったね。
だからやっぱり相手に自由にさせたくなかったから。自由をある程度奪えば、どこかいい位置でボールを奪うチャンスがあると思ったし。逆に言えば、そこから攻めないと後ろからは攻めれないと思ったから。「相手がプレッシャーをかけてくるのを自分たちのパス回しでいなしながら」とかっていうのは難しいと思ったから。
確かにそういうことが出来るチームじゃなかった。
それだったら後ろに球出しが上手な選手を置かなきゃいけない。今みたいなスタイルね。
うん
だって後ろにデカくて強い人を置くっていうのはさ、俺が思うのは、俺らが高い位置からガンガンプレッシャーをかけて相手が前に蹴ったとしても、後ろが跳ね返してくれるってことだし。全体が引いててもいいとは思うんだけど、それすらもハッキリしてなかったから。引いて守るっていう選択肢もあの頃は無かったし。
ああ、そうだね。
横並びの中盤で4-4-2で前からプレッシャーかけるって言ってたけど、「誰が行くのか?」っていうのがずっとハッキリしなかったから。
うん
だから「この試合がひとつの転機になるかな」って思ったんだけど、思ったのは俺だけだった。
はははは(笑)大分戦がね。
うん。その後にそういうやり方が継続されたわけでもないし。
みんなドン引きだったんだろうな(笑)「あいつ勝手にやりやがって」って(笑)
うーん(笑)どうなんだろうね。まぁ、でも、仕方無いんじゃない?仕方が無かったんじゃない?
そうだね。俺はあれは正しいと思ったからね。チームがなんにもなってなかったんだもん。誰も前に行かないし。
うん。だからそれは俺の責任感だと取って欲しいね(笑)
なるほどね(笑)
俺は焦ってたんだよ。「これじゃまずい。試合の中で何にも見せれない」って。ただ後手後手で振り回されて、それに対して走り続けるのは何にもならないから。「どういうやり方だったらうちのチームは主導権を取れるんだろう」っていうことをずっと考えてた。そう思って僕は大分戦の形を取ったんだけどね。
1人全方向プレスね。
うん。だから前半戦はあれが1つの目玉だったけどね。
まぁ、そのあとずっと負けだしね。
結局、うまく決まらなかったね。サッカーが決まらなかった。引いちゃうんだったら引いちゃうでいいんだけどね。それも決まらなかったしね。で、やっぱり勝てない試合が続いていくと「ああ、また勝てないんじゃないか」って気持ちになっちゃうから。それがどこか弱い感じにさせる。で、ますます勝てなくなる。そういう悪循環な状況だったね。
ああ
だから、俺としては印象に残ってる試合は大分戦しかないし。でも、それは全員の責任だからどうしようもないけどさ。
まぁ、そうだな。
でも、やっぱりファミリーなんだからさ。チームはファミリーって言い方をするんだったらファミリーはケンカもするからね。兄弟ゲンカもあれば親子ゲンカもあるわけだから。そこまで行かないとファミリーとは言えないんで。まだファミリーではなかったんだなと。
じゃあ、今はファミリー?
今はねぇ、そういう雰囲気っていうのを監督たちが出してくれてるし。俺は実際親子ゲンカはしたから。
ああ、そうだね。
兄弟ゲンカは最初からしてるけど。俺は。
1人でね(笑)
そうそうそう(笑)でも、やっぱりそういうものが少しずつチームの中に出てきてるから。だからみんなそれに対して応えて行ってもいいんじゃないかなって気はするけどね。まだまだだよ。
まぁ、そうだろね。
うん。まだまだだよ。俺も日本人だけど、それが日本人のいいところでもあり足らないところでもあると思う。「何にも言わないで自分で考えて協調を図る」っていうのはすごく上手いと思うけど、それをもって「和」と言うなら「和」だけど、でも、はっきりとした目標がある中で「俺はこう思う」「私はこうだ」「じゃあ、何でお前はそう思うんだ?」とかっていうやりとりは下手だと思う。
うん
でも、スポーツに関しては人種もクソもないから。その世界で勝って行くにはそういうことも備えていかなきゃいけないし。まだまだそれは足らないんじゃないかな。
なるほどね。
また、話がずれたから戻すけど、シーズン前半戦はそういった混乱の中で終了し、後半戦と共に監督がペトロビッチさんになります。
うん